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2006-07-16

大局観

 将棋の羽生善治の、ドキュメンタリーを観た。
この人は私より一つ年上ということもあり、同世代で、高校時代からすごく、気にしていた人だ。
10代の頃、にはもうプロで、めっちゃ将棋が強くって、気がついたら7冠。若くしてトップのトップになったのだ。
 私も思っていた。今、トップになってしまったらこれからどうするのだろう?

 そのあと、タイトルはどんどん流出。そうだよなあ。それは仕方ないよなあ。と思っていた。でも、それは、羽生より強い人が現れたからではない。

上り詰めて自分の道を見失ったこと、そして、若い頃のように1000手先を読むような将棋はできなくなったこと。

 勝負師として、勝つことを意識し、勝てなくなったとき勝負師はどうするのか。

 それでも、羽生は将棋を続けている。続けることの重要性がわかったからだ。
 そして、得た答えが「大局観」

 今、ここにこの駒を指すとどうなるか? 直感を信じて、進んでいくのだ。
 ようは今感じる雰囲気。先のことを考えるのではなく、今、一番良い手を考える。

 それは、その一局のためではなく、人生を通しての一手である。
 勝つことを意識していた20代とは違い、今は負けることも勝負師としての、選択としての一つだと感じる。

 中田英寿は、現役を引退した。プロとしての試合ができないと、本人が判断したためだ。
 中田は勝つことを常に意識していた勝負師だ。勝てなくなったから、自分とは違うから、やめて、旅に出た。でもそれは、人生においては一つの手かもしれない。
 でも、私が、非常に中田の美学に、違和感を感じる所は、この「大局観」の部分である。
 続けることが、本当の才能ではないかと思えるからだ。頂点で、潔く辞めるのは中田の美学であって、世間すべてが、それが美しいと、賛美するものではないと思う。

 ただ、私はサッカーの世界に見切りをつけた、中田の苦しさや、辛さ、哀しさの部分ではかなり共感できる。 だから、私は、中田の引退を哀しく思う。

 私も、大局観という、考え方を意識して、勝つか、負けるかはわからないが、今、一番いいこと、大切なことをする直感を信じて進んでいくことを忘れないようにしようと思う。

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